電話番号の先頭に「060」を増やす。
一般の利用者から見ると「たったそれだけじゃん」って思ったりしますよね?
ところが、2026年7月以降に予定されていた「060」提供開始は延期となり、さらにいつ始まるのかも決まっていません。
制度上、「060」番号は使えるようになっていて、どの通信会社がどの番号帯を使うかも決まっているのですが、それでもサービスを始められない・・・。
この状況には、電話番号が単なる数字の並びではなく、端末や通信網、消防本部の設備までを考慮しなければならない「システム上の識別情報」が関係しているようです。
私たちは意識することはありませんが、現状、番号をひとつ足すだけでも、かなり広い範囲の準備が必要になるようですね。
「060」は5社に指定済み、それでも電話はつながらない
「060-10」はソフトバンク、「060-11」はKDDI、「060-12」は楽天モバイル、「060-13」は沖縄セルラー電話、「060-14」はNTTドコモと、「060」番号に対する指定はすでに行われていて、番号を誰が使うかという行政上の準備は、すでに進んでいます。
一方、通信5社は2026年7月8日、当初予定していた提供開始を延期するとしており、NTTドコモの共同発表では、開始できる時期が確定してから改めて案内するとのことで、新しい日程は未だ示されていません。
林芳正総務大臣は延期の要因として、一部の携帯電話端末で「060」を表示するためのソフトウェア更新が必要なことと、通信事業者と緊急通報を受け付ける消防本部との接続改修を挙げています。
結局、番号を割り当てることと、その番号を全国で実際に使えることは別なんですよね。
発信する端末、通話を運ぶネットワーク、受信する設備のすべてが「060」を正しく扱えて、ようやくサービスが開始となるわけです。
一部端末は「060」を携帯番号として扱えない
端末側で確認されている問題は、一部機種が「060」で始まる番号を正しく表示できず、ソフトウェア更新が必要なのだそうで、これ以外にかなり大きな問題だったりしますよね。
対象となる機種名や更新の提供状況は公表されていないのですが、実は表示以外にどの機能へ影響するのかも確認できていないようで、「古い携帯電話ならすべて非対応」と判断できないうえ、ソフトウェア更新をしなければ発着信や緊急通報ができないというわけでもなさそう。
まぁ、つまりは「やってみないとどうなるのかわからない」というのが本音なのではないでしょうか?
現状、端末が物理的にはまだまだ使えたとしても、世の中の番号体系が新しくなったことにより、現在使用している端末が使えなくなってしまうかもしれないというリスクもあるわけです。
スマホの古さというと、OSやアプリ、通信規格を思い浮かべますが、電話番号の追加もソフトウェア対応を必要としており、これを日本全国レベルまでに対応させようとすると、とんでもない時間と労力がかかりそう・・・。
もっとも、対応機種が明らかになっていない以上、利用者が自分で確認したり、先回りして端末を買い替える必要があるかどうかもわかりませんし、少なくとも今使っている070、080、090番号はそのまま利用できている以上、通信5社が危ない橋を容易に渡ることはできませんよね。
現時点での流れで言えば、新しい「060」の番号体系が登場してくると、確実に利用者側び端末アップデートは必要となってきそうですから・・・。
119番は音声をつなぐだけでは終わらない
さらに、緊急通報の改修も必要となるようで、119番自体、単に消防本部へ音声をつなぐだけの仕組みではないのだとか。
消防庁の資料では、携帯電話から119番へ通報した際、音声とともに発信位置に関する情報が消防本部へ通知され、指令台の電子地図に表示される仕組みがあるのだそうで、さらに消防本部間で通報を転送する際には、通報者の電話番号や利用中の通信事業者、位置情報を引き継ぐ仕様があるのだとか。
つまり「060」でも、通話の接続だけでなく、発信者番号や位置情報などを既存番号と同じ条件で扱える状態が必要となるわけで、番号を送り出す通信事業者だけが対応しても、受け取る消防本部側で正しく処理できなければ準備完了とはならないようです。
しかも、「060」のために消防本部のどの設備や処理を変更しているのか、全国でどこまで改修が進んでいるのかは公表されていませんし、既存資料から緊急通報の仕組みまでは確認することはできるのですが、今回の改修がどこまで進んでいるのかは、わかりません。
実は、070番号の携帯電話への開放は制度改正から約11カ月、IoT機器向け020番号は9カ月かかっていたようで、060には当初18カ月の準備期間があったとはいえ、それでも足りなかったのだとか。
電話番号は、数字の羅列なので簡単に足したり引いたりできるように感じてしまいますが、実際には見た目ほど単純ではないんですよね。
便利な仕組みほど、裏側では古い端末や各地の設備とつながっていますし、「060」の延期は、その見えない接続先の多さが表に出た出来事なのかもしれませね。
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