AIに「一から説明」をやめる日 Genspark「Second Brain」の狙い

AIワークスペース 6.0

Gensparkが、新しいAIワークスペースと録音端末「Second Brain Note」を発表しましたね。

見た目は生成AI機能や小型ガジェットの追加のような感じですが、実際にはメールや会議、対面の商談までを一貫して蓄積し、「AIが仕事の記憶を握る」前提へ踏み出した発表になっているようですよ。


「Genspark AI ワークスペース 6.0」で、メールや会議メモ、カレンダー、Notion、文書、CRMをつなぐ「Second Brain」を中核に据え、ここで注目となるのは、AIが一度きりの対話相手ではなく、継続して業務情報を抱え込む存在として設計されていること。

担当製品や進行中の案件、関係者との過去のやり取り、次に必要な作業までを時系列で整理し、回答や資料作成のたびにAIエージェントが参照する仕組みになっているのだそうで、複数のプロジェクトを抱えている人にとっては、かなりありがたいものとなりそう。

従来の生成AIは、高い出力性能を持っているとはいえ、「毎回、前提を説明し直す」必要があったり、自分が所属する部署や担当プロジェクト、これまでの経緯を対話のたびに書き添えることもでてきたりと、便利さだけではなく説明コストが生まれていたりしました。

「うっかり、忘れてました。」なんてセリフ、見たことあるでしょ?

今回、Gensparkは、この状態を課題として明示し、AI側に業務の文脈を持たせることで説明の反復を減らそうとしているようなんですよね。

ただし、メールやドキュメントをつなぐだけでは、現場の会話までは把握できませんし、商談や打ち合わせで交わされる細かな条件変更や、ホワイトボードを前にした議論の流れは、そもそもデジタルデータとして残らないことが多いですよね?

ここで投入されたのが、Genspark初のハードウェア「Second Brain Note」で、スマートフォン背面に磁石で装着するカードサイズの録音端末となっていて、会議や商談を記録し、文字起こしと要約を生成してくれるのだとか。

Second Brain Noteは、連続録音時間が約35時間となっていて、1日6時間の会議があったとしても、約1週間利用することが可能となっているようで、無料プランでは月300分まで、Genspark PlusやProといった有料プランでは文字起こしを時間無制限で使える条件になっています。

録音した音声をそのまま残すのではなく、Second Brainへ取り込むためのテキストと要約に変換することを前提にした設計となっていて、会議室で交わされた情報を業務記憶の一部として扱うことを狙っているのだとか。

端末自体はスマートフォンアクセサリーのような形を持っていて、磁石式ウォレットケースに収納することができ、カード類とあわせて持ち運べるほか、ケースを折り曲げてスマートフォンスタンドとしても利用できるようで、ちょっとしたことですけど地味にうれしいポイントも。

机の上にスマートフォンを立て、その背面でSecond Brain Noteが会話を拾うという使い方が想定されているようで、あくまでも主役は端末そのものではなく、現実空間の会話をSecond Brainへ橋渡しする役割に徹しています。

ソフトウェア側でも、Second Brainを中心に据える流れが徹底されていて、メール機能のGenMailは、過去のメールや相手との関係、案件の進捗をSecond Brainと結びつけ、メール画面から過去のやり取りをたどりながら返信文を生成するようで、もはや単なる「賢い返信候補」ではなく、蓄積された業務履歴に沿ってメール処理を行う構造になっているのだとか。

いや、ここまでくると、プロジェクトの参加者の一人になってきますよね・・・。

共同作業機能のGen Teamでは、人と複数のAIエージェントが同じワークスペースに参加し、マーケティング、デザイン、開発など役割ごとに用意されたエージェントへ作業を割り当て、利用者や同僚と並べて進行させる想定になっているようで、このとき参照される前提情報も、個別のタスクではなくSecond Brainに貯められた業務全体の記憶であり、「どのAIを使うか」以上に「何を覚えさせておくか」が重要となりそう。

今回、Gensparkは、個人向けの利用から法人利用へ軸足を広げる中で、この構造をビジネスモデルとして位置づけていテ、すでに日本法人と東京都内のオフィスを開設し、今後3年間で1億ドルを日本事業に投じる計画を持っています。

製品、マーケティング、営業、技術支援、カスタマーサクセスの体制を整え、資料作成だけでなく、社内ダッシュボードなど業務全体のインフラとして使われる局面を想定されており、また新たな風をAI業界に持ち込んできています。

また、業務情報の扱いについては、Second Brainの構想と切り離せないものとなっており、Gensparkでは、個人情報や業務情報をMicrosoft Azure上に保存し、外部のAIモデル提供者とはゼロデータ保持の契約を結ぶことで、利用者データをモデル学習に用いない方針を示しています。

法人向けには、日本国内でデータを保管するデータレジデンシーを対象顧客に提供し、メールやカレンダーなど各種サービスの接続は利用者ごとにオン・オフを設定できる形になっています。

こうした条件を重ねることで、Gensparkは自社のサービスを「AIを使う場所」から「業務記憶を預ける場所」へと位置づけようとしていて、Second BrainとSecond Brain Note、GenMailやGen Teamを組み合わせることで、生成AIの性能向上だけでは生まれなかった変化を狙いに行っており、AIに毎回前提を説明するのではなく、業務の経緯そのものをプラットフォーム側に持たせる構造へ踏み込んだことが、今回の発表の中心だったと言えるでしょうね。